焼き肉チューン店「焼肉酒家えびす」社長のTVニースでの土下座シーンは妙に印象的だった。同店の生肉(ユッケ)によって死者4人を含めて患者数は100人を突破した集団食中毒事件報道で社長が「申し訳ございません」と言いながら、額を頭にこすり付けるような土下座のシーンがテレビで流れた。 あの社長の土下座のシーンには実に<申し訳ありませんでした>という雰囲気が溢れている見事な「土下座」シーンだ。 そのすこし前に報道された今回の大震災による福島第1原発の事故で福島県浪江町の住民の方が避難している同県二本松市の体育館を訪れた際の東電清水社長の土下座のシーン(今月4日)は先の「焼肉酒家えびす」社長の土下座シーンと比較すると、土下座シーンとしては「格」が落ちる。 仁王立ちした避難女性の前で頭をうなだれている清水社長に向かって「土下座しろ!」と怒号が飛ぶと、待っていたかのような段取りで東電社長が避難所の床に跪いての土下座シーン。あの社長の土下座シーンを眺めていると、勝手な想像だけど、いかにも人に謝ったことがない人がやむを得ずいやいやするかのような土下座だ。 「土下座」をするほうもされるほうも、これで「済む」わけではないことは百も承知しているなかでの謝罪儀式としての「土下座シーン」。 日本では「土下座」が最上級の謝罪シーンなのか? いつからこんなことが定着したのか? どんな謝り方がいいのか? どんな謝り方をしたとしても、それで何かが許されるわけではないけど、土下座しなくても、謝罪のやり方は別にある。 土下座を求める人もどうかしているし、自ら土下座する人も他人にも土下座を求めるんだろうな。 自発的にする「土下座」も、させられる「土下座」双方ともこんな謝罪慣習はよくない。まして、これが日本伝統(文化)だなんて言わせたくない。 「土下座」はやくざ映画(もっとも今はやくざ映画がないけど)や時代劇のなかの一シーのままにしてもらいたい。
by marifami
| 2011-05-08 17:46
| 新聞テレビ報道
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