「住民票にもとづく村の人口は現在995人、実勢では900人ぐらいじゃないですかね。」青梅線終点の奥多摩湖駅から車で約30分のとこにある山梨県小菅村の課長さんの説明。東京の奥多摩のメッカ、奥多摩湖の西に位置する小菅村は面積約53平方キロで森林が面積の95%を占めている山村だ。 東京に住んでいる人にとって多摩川を堰き止て作ったダムの奥多摩湖は誰でも知っている存在だが、その奥にある小菅村となると意外と知られていないところだ。 東京都民の水がめである奥多摩湖の水源保全の森林をもつ小菅村は「多摩川源流の村」として村おこしを図っている。 たまたま知った小菅村の森林再生プロジェクトの一環として行われている「多摩川源流 緑のボランティア」で10月15日、16日の1泊で村の民有林の間伐に参加。 間伐って言ってしまうと木々の間引きのこと。 間伐作業開始前の村の課長さんの説明 「貧しい村ですが公有林は村でなんとかします。民有林は山の働き手が少なくなって、手入れが出来なくなっています。」 「植林をしたスギやヒノキは間伐をしないと、木々の生長が損なわれるだけじゃなく、風や雪で密集した木が将棋倒しになり倒木が沢に流れ込み、洪水時には流れ出た倒木が下流の川の氾濫を招きます。また木々の倒木は山の土砂を押し流し、倒木周辺の木々をもだめにしてしまう」 <ふ~ん。最初から密集して植えないで間隔をおいて植林しておけば間引きなんかしなくてもいいんじゃない>と、思ったら、課長さん続けて曰く。 「植えるときはある程度密集して植えないと、1本1本の苗木が真っ直ぐ伸びていかない。密集して植えると苗木同士が競争して上へ上へと伸びていくんです。そうして大きくなった木を間伐することで、更に大きく立派な木に成長するんです。」 そうかそうか納得。 そうだよな、最近やりだした家庭菜園での野菜つくりだって、間引きは必要。秋野菜で植えた直植えの大根やにんじん、ホウレン草だって、最初は密集して植えて、苗がある程度大きくなったら間引きしたよな。 こんなことは菜園の初歩の初歩だよな。 かってやっていた「里山ボランティア」で山は「木の畑」っていう言葉があったことを思い出した。 課長さんに続いて林業専門の大学の先生のレクチャー。 「このあたりのスギの売値は1本4200円。木の山出し作業費が1本5000円。1本を山から切り出すと800円の赤字。これじゃだれも山の木の世話はしない。1970年代は1本32000円で売れた。機械で一気に森林伐採した安い外材に対して日本の林業は太刀打ちできない。植林時2500本~6000本/1haを最終的には300本~600本/1haにする必要がある。」 「植林したままほっとくと、植林した一帯だけではなく、その前後左右の自然林も弱っていく」 「日本の森林面積の割合はこのところず~っと減っていないが日本の森林は荒廃している。日本の山は荒廃している」 スギの木、1本の値段がいくらなのか初めて知った。 ボランティアに参加した人、曰く。 「熊はこれからますます里に下りてくるよ。人間の手入れがされている山には熊は入り込んでこなかった。今は山は手入れがされず里山がないため熊と人間の生活圏が直接繋がってしまった。」 短いレクチャーが終わると村のいかにも好好爺とした年配の指導員に従って、緑あふれる植林がされた山の斜面へ。 素人目にもスギやヒノキで覆われた薄暗い森林の木々は多すぎると思ったよ。
by marifami
| 2005-10-17 20:56
| 環境
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