多摩川を跨ぎ八王子と昭島を結ぶ多摩大橋直下の多摩川右岸に拡がり、多摩川中流域の貴重な自然を守るはずの「生態系保持空間」エリアが破壊されている。 (画像は1月13日撮影 以下同じ) 画像ではわかりにくいが多摩川土手下に拡がる疎林交じりの広大な河川敷(ざっと30~40ヘクタール)にダンプカーが入り込み、樹木を根こそぎ押し倒して裸地にしている最中だ。 こんな看板もある その横には工事の看板だ この「生態系保持空間」とは国土交通省傘下の河川管理部門が昭和55年に多摩川河川敷を利用目的に応じて8つの空間(エリア)にわけ、その一つとして多摩川の残り少なくなった自然を残す目的で設定したエリアで、環境保持の観点から基本的に人間の手が入らないようになっている。 いわば都市流域を流れる多摩川に残された貴重な自然環境だ。 生態系保持空間については以下を参照 国土交通省京浜河川事務所作成の文書 この文書では『多摩川は、遊んだり自然観察をするための空間が目的別に8つに区分されています。生態系保持空間は第8番目のエリアで、学職経験者など専門家による生態学的な観点から、動物や植物などの生息・生育地として特に保全する必要があると認められた区域です。このため、必要に応じて河川生態学術研究地区(福生市永田地区)のように本来の生態系の回復を目ざします。そのため、むやみな立ち入りが禁止されています。』と明記してある。 多摩川には20近くの生態系保持空間が設定されているが、そのうち今回取り上げる多摩大橋のエリアは特に生態系が豊かなところだ。 それがどうだ、このありさまだ 看板に書いてある連絡先に電話してみた 対応したのは事務所所長。 「生態系保持空間を何故壊しているのですか?」 理由は二つとのこと 一つは「ハリエンジェル等の外来種対応」、二番目は「ここを流れる多摩川の水深が深くなってきたための治水対策」。 ハリエンジェルだけを伐採しているわけでなく、根こそぎ伐採をしているのに、外来種対応とはおかしいのでは?と言うと、所長自身も「まぁ。そうですね」 次に今回の工事に至ったプロセスと事前情報公開について聞くと、工事自体の通知は市役所等には連絡してあると言うが、工事と生態系保持空間の関連については、特にこれといった情報公開もしてなさそうな回答だった。 「役所でここの自然を守りましょうと立ち入り禁止にして保護している場所を、役所が破壊するとはどういうことですか?」 「今回の件についてそちらのHP等には載っていますか?」 対応した事務所所長は『京浜河川事務所HPの河川相談室に書いてください』との一点張りだ。 貴重な自然環境を守りましょうと言ってる当事者が、なんの事前調整・情報公開もせずにその自然環境をぶっ壊している。もちろん税金を使ってだ。よくこういうことが出来るもんだ。 多摩川「生態系保持空間」破壊について京浜河川事務所と以前質疑応答したことがあった。この時は浅川河川敷と多摩川・浅川合流地点の生態系保持空間の河川工事についてのQ&Aだ。 京浜事務所は再回答したけど その時と事態はまったく変わっていない! ***********20140128補足************** このブログを書いた直後に京浜河川事務所HPに「何故ですか?」と書き込みをした。 その回答メールが届いたのが1月28日 ここにそのメール内容を記す 「吉沢様 多摩川河川相談室にお寄せいただきましたご意見について回答させてい ただきます。 ご指摘の通り、多摩大橋周辺の八王子市側の河川敷は「河川整備計画」に おいて「生態系保持空間」として位置づけられており、貴重な生態系を保持 しようとする空間とされています。 しかしながら近年、当該地区では川の流れが昭島市側に固定され川底の洗 掘が進んでいるため、護岸や堤防の安全性低下が懸念されているとともに、 八王子市側の河川敷は外来種等の樹木群が拡大し、生態系保持空間を設定した 当初と比べ、環境が大きく変化してきている状況にあります。 このため、今般、堤防や護岸の安全性確保と多摩川本来の河川環境再生に向 けて、川底の安定化を図る工事や護岸工事、多摩川らしい環境を再生する工事を 一体的に行うことといたしました。 工事の実施にあたっては、委員会を設置して学識経験者や沿川自治体と共に 検討を行っており、河川環境の再生手法については試験施工の結果を踏まえて 決定しております。 また、地域の方々への周知と致しましては、工事の説明を隣接する自治会に 対して行っており、工事説明看板を現地に設置致しました。 以上、工事の実施につきましてご理解をいただけますようお願い申し上げ ます。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ がんばろう 日本! = 被災者支援、災害復旧・復興に全力 = 国民の命と暮らしを守る国交省 京浜河川事務所 河川相談室 e-mail:tamagawasoudan@ktr.mlit.go.jp 」 確かにその後、この場所を訪れたら、治水対策とともに河原を本来の環境に戻すという趣旨の「工事説明看板」は設置されていた。 京浜河川事務所が多摩川をどうするのか、もっと知りたくなった。
by marifami
| 2014-01-15 11:10
| 環境
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