宇宙を見るということは過去を見ることになる。 地球からアンドロメダ星雲までは230万光年離れている、北極星は430光年離れている。 ということは今見ているアンドロメダ星雲は230万年前の姿であり、北極星は430年前の姿であるということだ。遠くを見るほどに過去を見ていることになる。 宇宙の年齢は137億年と言われている。 どんなに優秀な天体望遠鏡があったとしても、137億光年より先の宇宙を見ることは出来ない。現時点の天体望遠鏡で覗ける宇宙の限界は100~120億光年ぐらいだそうだ。 上の図は「宇宙図」と言われてもので、 円錐形を逆さにしたような形の「すり鉢形」とそのなかに「しずく形」はあり、縦軸が時間軸で一番下が「宇宙誕生」で一番上が「現在」を表しており、現在の地球は時間軸上の「現在」にある。すり鉢のラッパ形の上面は現在の観測(計算)可能な宇宙の大きさを表している。 (図自体にはオリジナルに勝手無断に手を加えている) 「すり鉢形」は時間が経つほどに宇宙が大きくなっていることを表している。 137億年前に「無」から生まれた宇宙は、現在地球を中心に半径470億光年の広がりを持つ大きさに膨張したことを示している。勿論この瞬間にも宇宙は加速膨張している。 (宇宙には中心はない。「宇宙図」はあくまでも地球から見た観測可能な範囲を表示しているに過ぎない) 図ではわかりにくいが、「しずく形」は我々が現在、見ることが出来る宇宙の場所と時間を示している。 例えば、現在100億光年先の★は100億年前に光を発し、その光は図で示す「しずく形」の表面をグリーン色の矢印にそって進み、地球に届いたことになる。 グリーン色の線自体が100億光年の経路だ。 100億光年先の星を見ると言う事はそういうことなのだ。 100億年前に光を発した星は、現在今この瞬間に地球から100億光年先にあるわけではない。光の速度は約30万キロ/秒で有限だ。 我々が見ることが出来る宇宙の場所と時間が何故「しずく形」をしているのかと言えば、宇宙の膨張速度(地球から見て遠くなっていく速度)と光の速度(星から発した光の地球への接近速度)の相対関係を図示すると、「しずく形」になるとのこと。 137億光年が宇宙の果てなの? 宇宙の果てはどうなっているの? はたまた宇宙には果てがあるの? 昔から延々と続くこの素朴な疑問に答えてくれる本に出会ったよ。 『最新宇宙論物語 宇宙に恋する10のレッスン』 佐藤勝彦監修 片桐暁、小阪淳著 東京書籍㈱発行 2010年7月12日第1刷 この本の登場人物はキョウコ(28歳、天文学専攻・博士課程)、コウイチ(20歳、文系学生)、それとミミ(?歳、キョウコの親友であり、コウイチの元恋人で音大生)。 キョウコとコウイチは宇宙を論じながら恋に陥って行く。その展開パターンはちとステレオタイプ的だと思う。まぁ、それはおいてきましょう。 『宇宙に恋する10のレッスン』はこの「宇宙図」を軸にして、宇宙の広がり、宇宙の果てを紹介してくれるたのしく且つ刺激的な本だ。 この本によれば<宇宙の姿>とは次の3つになるという。 (1)この瞬間に観測可能な宇宙→「しずく形」の表面 この「しずく形」からは宇宙開闢38万年後の136億9962万年前の姿まで観測可能だ。 宇宙開闢38万年後に「宇宙」は晴れ渡り、光が飛び出した。 (2)直接は観測できないが、「しずく形」から計算できる宇宙→「すり鉢形」 これによると地球からみた宇宙半径は470億光年となる。 (3)「宇宙図」の外側の世界にも勿論宇宙は存在する。 その広がりは数千兆光年とも言われるが、結局は果てはないと言うことだ。 そうです、宇宙には果てがないのだ。 少なくても空間3次元+時間1次元の世界では果てはないのだ。 随分もやもやしたものがすっきりしたよ。 この本の「講義」はこうなっている。 「講義1」ガイダンス 「講義2」観測される世界とは 「講義3」しずく形とすりばち形 「講義4」観測できる宇宙の大きさ 「講義5」宇宙の始まり 「講義6」観測できる宇宙の外 「講義7」空間とはなにか 「講義8」人間が生まれるまでの歴史 「講義9」科学と人間 「講義10」宇宙が存在する原因 それから「宇宙図」自体については、この本とは別に、下記HPからダウンロード出来る。なかなか優れものです。「一家に1枚 宇宙図 2007ガイド」 尚、著者の片桐暁さん、小阪淳さんはこの「宇宙図」作成のコピーライターであり、コピーデザイナーで「宇宙図」作成以前は宇宙にはまったく無関係な方たちである。、
by marifami
| 2011-04-22 00:29
| 読書
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